怪鳥インコのブログ

お勧めラノベ紹介

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 一~三巻+短編集

今思えば紹介してるラノベが偏っているのは、シリーズを通して読んでるやつばっか紹介してるって理由も大きいかもしれませんね。
そろそろ面白いけど続刊は買ってないようなラノベも織り混ぜつつ紹介した方が良いかもですが…とりあえず今回は、完結したラノベの紹介。『』です。個人の感想含まれすぎで、ちょっと今回長め。

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荒筋は、男の子の主人公と女の子の意識が一日おきに入れ替わるというものになります。
それだけ聞くと「あー、転校生とか君の名はと同じ設定かー」ってなってしまいますが、違います。体は主人公のものが一つあるだけで、その意識が一日おきに入れ替わるのです。
え、じゃあ女の子の体はどこに?
実はこの女の子、メインヒロインにも関わらず、異世界ものよろしく開幕2ページくらいで死ぬのです。
そしてその意識だけが主人公の体を一日おきに乗っ取るので、ヒロインは主人公の前に姿を一切見せないどころか、主人公と会話を交えることすらありません。何それ斬新! でも、歴としたラブコメなのです。

ややこしいのでもう一回まとめると、主人公は一日おきにヒロインに体の所有権を乗っ取られ、その間の記憶は一切ありません。
主人公とヒロインは同時に存在できないので話をすることさえ出来ませんが、体を操る二つの意識が意志疎通を出来なければ不都合なので、お互い日記をつけて擬似的に会話をしようということになります。
波乱万丈な女の子のせいで朝起きる度に状況が激変しており、現状把握やルール作りのために日記を活用していく。しかしそれがいつしか主人公とヒロインを結ぶ大事な絆になっていき…というお話。近くにいるのに最も遠いヒロインと、文通みたいな繋がりかたをするこの距離感!案の定、電撃文庫大賞の金賞作だー!!!

これだけ聞くと本格ラブコメかなって感じがしますが、そんなことはありません(ないんかい)。どちらかと言えば、ラブ成分よりもギャグ成分の方が強いです。
下手なコメディラノベよりよっぽどはっちゃけており、主人公の異様なノリの良さと女の子の破天荒さは見てるだけで笑えてきます。勢いだけで笑わせてくるのが苦手な人は苦手かもですが、個人的にはこのムチャクチャさ、かなり好きです。
そしてこのギャグがずっと下地にあるからこそ、泣けるところが本当に泣けるし、熱いところが本作に熱い。正直、この作品で泣けるかはかなり涙もろさや感性次第なところありますが、涙もろい私は何度泣いたことやらです(;´-`) 最初に読んだのは中学だったか高校だったか…。
ともかく、この雰囲気にどっぷり浸れる人はいつの間にか泣いてたり青春を感じていたりする。浸れない人にはただのギャグラノベにしか見えない。そういう作品です。

ややこしい設定なのに流れるように話が進むこの作品は展開力がとにかく高いのですが、一番の魅力は何かと聞かれたら、キャラクターだと思っています。
本作の主人公坂本秋月は、私が読んだラノベ主人公の中ではトップ3に入るほど好きなキャラです。属性としてはよくある、本当は心優しいのに見た目が怖いせいで敬遠され、不良化した系主人公ですね。
心のなかで気分のままに叫び続けるようなハイテンションさと、鈍感になれなくて困ったり余計なことまで期待してしまう共感性、そしてそれなりの頻度で面白い泣き言を言う可愛さ。好きなヒロインランキングにぶっこんでも上位狙えるんじゃないかってくらい良いキャラです。大好き。
またメインヒロインも破天荒過ぎてアホの子にしか見えないと思っていたら、時々いやそんなことはないみたいな話をぶっこんできて好きにならざるを得ない。二巻とかね、イラッってしてしまった自分が恥ずかしい、みたいになりますよ。こんなに主人公と同じ心情を味わうラノベも少ない。

二巻や三巻は特に完成度犠牲にしてるなーってところ有りますが、このシリーズにはそれを補って余りある雰囲気や勢いやその他もろもろが有ります(一巻だけでも十分では有るけど、二巻以降も悪くはない)。
笑いたい人、泣きたい人、熱くなりたい人。ラノベに抵抗がない人であれば、かなり多くの人に勧められる作品です。
※一旦終了。以下、本作に関係したコラム。

いきなり何を言ってんだって感じですが、私、小学生の頃に女の子と文通をしていたことがあります。
好きな女の子から文通を申し込まれた状態だったので、もちろん奮発しました。私は今も小学生の頃から全く成長していないため、当時の手紙も殆どこのブログと同じ調子だと思って構いません。ひねくれたことばかり言って殆ど会話になってない。でも、最初の内は好感触でした。
…しかし、ここで小学生の私にはどうしようもない、恐ろしい試練がやって参ります。………ネタ切れです。ついでに言えば、結構飽きてもいました。
結果は皆さんご想像の通り。私は持ちネタであったアンパンマンの絵だけで便箋を埋める方針に移行、女の子が怒ってくるけど何を怒られてるのか分からずドラえもんの絵を追加、そして打ち切られる文通…。
どんどん荒れていった彼女からの手紙は、受験勉強で大変なときに見直していたほどの家宝になっております。
そんな風に文通に甘い記憶のある方に(甘い!?)、この作品は特にお勧めです。相手の返事を待ったり、時にこじれたり、相手を笑わせることが出来て嬉しくなったり。基本的にはドタバタコメディなのに、そんな文通の喜びがしっかりと描かれています。
作者が意識しているのかしていないのか、この主人公に少し幼児性が残っているのも良いです。私が文通していたのは小学生の頃だったため、恋愛に対して小学生並に純粋な彼らが文通まがいのことをしている姿は、特に琴線に触れました。
またヒロインも、そんな私のトラウマを…コホンコホン、良い思い出を優しく包むような包容力が有ります。一巻のオチも、なんかこう、小学生の純粋さを思い出すような良さが有って好きすぎます。
この作品を読んだり読み返したりする予定がある人は、是非是非異性と文通し、振られてみると良いと思います。そうすればより、この作品に入り込めるでしょう。